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Analytical Sciences誌に掲載:マイクロ流体デバイスで生物組織を簡単に長期培養

本領域の田中陽(B01班 理研)の研究グループが、マイクロ流体デバイスを培養液透過膜と組み合わせることで、少量の培養液を自動的に灌流させ、生物組織切片を長期間培養することに成功しました。

マイクロ流体デバイスを用いた生物組織切片培養は従来、培養に必要な栄養の供給と呼吸のバランスを取ることが難しく、数週間から数カ月の長期変化を観察するには、培養組織に栄養と酸素を安定供給する培養方法を開発する必要がありました。

今回、研究チームは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を用いて、培養液供給と除去を制御するマイクロ流体デバイスを作製しました。このデバイスでは栄養供給と呼吸のバランスを適切に保つことができ、概日時計(体内時計)をつかさどる脳組織の視交叉上核(SCN)を25日間にわたり長期培養することに成功しました。また、デバイスを顕微鏡下に常時設置し、培養SCNの概日リズムの2時間ごとの経時観察を行い、概日時計機能が全培養期間を通して、感度よく計測されることも実証しました。本研究成果は、本領域でも行っている生物組織の培養や概日リズムの測定などにおけるさまざまな研究に広く応用されると期待できます。

本研究は、国際科学雑誌『Analytical Sciences』(10月10日号)に掲載されました。

論文名:A Microfluidic Platform Based on Robust Gas and Liquid Exchange for Long-Term Culturing of Explanted Tissues
論文リンク:https://doi.org/10.2116/analsci.19P099

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