Science of Soft Robots – ソフトロボット学の創成:機電・物質・生体情報の有機的融合

A03-2:ストカスティックマシンの創成を通じたソフトロボティクスの攻究

研究チーム

研究代表者 前田 真吾(東京工業大学)
研究分担者 澤田 秀之(早稲田大学)
研究協力者 重宗 宏毅(芝浦工業大学)
三輪 貴信(早稲田大学)

概要

高度化するメカトロニクスにおいて、機械の複雑さが問題になっている。我々の問題意識は、電子素子・機械要素の超小型と超集積化、プログラミング、配線など機械(マシン)の複雑化を如何に乗り越えていくかということにある。本学術領域で取り扱うソフトロボット学を実現する上で、「しなやかな知能」をスマートマテリアルに付与するために、確率的(ストカスティック)な方法で実現する。これまで、我々は化学反応が確率的な仕組みを持つことに着目し、振動化学反応とスマートゲルを化学的に結合し、スマートゲルが自発的に振動、歩行や蠕動運動する機能を実現した。振動化学反応を情報処理系と見なし、その濃度変化によってゲル内に時空間秩序が生成され、結果として自発的なゲルの運動が誘起される。つまりロボットの最も重要な機能である移動あるいは変形が可能となる。また、スマートマテリアルである形状記憶合金の微細ワイヤに数Hz~数100Hzのパルス信号を与え、その発生確率密度を制御することでこれまで困難であった動的な触覚呈示手法を実現し、デバイスの小型化と省電力化に成功している。したがって、スマートマテリアルに確率的な要素と解釈を与えることで、システム全体がうまく機能するソフトロボットを実現する。このようにシステムを精密に制御しない、「ストカスティックマシン」を創成し、スマートマテリアルの情報処理の学理を構築する。また、その情報の多次元データ内の変数間の関係を縮退することなく可視化することで、直感的な解釈にも挑戦する。