A03-3:コントローラブルな生物リズム・パターンの創成
研究チーム
研究代表者 | 伊藤 浩史(九州大学) |
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研究分担者 | 杉 拓磨(広島大学) |
永井 健(北陸先端科学技術大学院大学) |
概要
生物は、限られた材料とサイズで高機能な振る舞いを見せることがしばしばある。本研究班は生物のリズム現象・パターン現象である (1) 試験管内に再構成された体内時計・(2) 線虫の作るパターン形成現象を発見した経験を持つ。この発見を人類が利用できる形に転用させるべく、情報処理が可能なマイクロマシンへ改変することが目標である。生物のリズム・パターン研究に関しては、物理学のこれまでの知見を利用するのが適切である。本計画課題では、シアノバクテリアの概日リズムを生化学の側面から研究してきた研究者,線虫のパターン形成を研究してきた研究者、リズム・パターン形成の理論研究を行ってきた研究者の協力によって、生物の機能の本質的な側面を抽出して、自在に制御することに挑戦する。
具体的には、3つのタンパク質で作られる24時間周期の生化学反応を用いてKaiCリン酸化リズムを作る。適切な外部刺激によって振幅・位相を制御することを試みる。またリポソーム内への封入によって、微小体積を持つ非生物に24時間という1日リズムを持たせることを目的とする。またこの振動する生化学反応を利用して、細胞スケールのタイマー及びカウンターの作成に挑戦する。
パターン形成に関しては、線虫が作るパターン形成の過程を明らかにする。ランダムに動き回る生物がどのようにパターンを作るのか普遍的な原理を理論的に明らかにする。線虫が遺伝学的解析を使えることを利用して、パラメタチューニングを行い様々なパターンを生み出すことに挑戦する。
以上の生物そのものを利用したマイクロマシンの創成を通して、ソフトロボティクス学形成に貢献する。