Science of Soft Robots – ソフトロボット学の創成:機電・物質・生体情報の有機的融合

A02-2:イオン交換膜が実現するソフトロボットのモーションコントロール

研究チーム

研究代表者 鈴森 康一(東京工業大学)
研究分担者 安積 欣志(産業技術総合研究所)
堀内 哲也(産業技術総合研究所)
難波江 裕之(東京工業大学)

概要

本学術領域が目指すソフトロボット学のベースの一つは、「しなやかな動き」の創出とそのコントロールにある。本計画課題では、アクチュエータ・ロボットを専門とする2名の研究者と、機能性高分子材料を専門とする研究者の密接な協力と徹底的なディスカッションを通し、材料開発からロボット構築までの一貫した設計、解析、評価に関する学術を確立する。

我々は、様々な電気化学プロセスの基本材料であるイオン交換膜に着目して研究を進める。具体的には、(1) イオン交換膜への電圧印加に伴う交換膜内での物質移動によって引き起こされる交換膜変形を利用したソフトアクチュエータ、および、(2) 交換膜/電極界面での電極反応による気体生成・吸収による気液の容積変化を利用したラバーアクチュエータ、の2つの原理のソフトアクチュエータ・ロボットの構築とその自在なモーションコントロールの実現を目標に掲げる。それぞれのアクチュエータ・ロボットについて、(a) 材料科学、電気化学的解析、材料シミュレーションといった観点から、ソフトロボティクスに特化した種々のイオン交換膜材料と電極材料を新たに開発するとともに、(b) 3 Dプリンティングとモールディングによる成形プロセスを工夫することで、種々の形状デザインの素子を創り上げる。また、(c) 電気化学反応の制御、およびロボット運動制御といった広い観点から、その制御法を確立する。イオン交換膜を用いたアクチュエータ・ロボットの設計・統合手法を確立し、「しなやかな動き」を実現するソフトロボティクス運動学に関する学術分野の形成に寄与したい。