Science of Soft Robots – ソフトロボット学の創成:機電・物質・生体情報の有機的融合

B02-03:皮膚創傷の予防・軽減機能を有した3Dゲルパッドを用いたソフト介護機器の開発

概要

研究代表者 宮川 祥子(慶応義塾大学)

我が国では、高齢化が急速に進行し、看護・介護を必要とする人々の増加が社会的な課題となっている。その中でも、長期間特定の部位が圧迫されることで皮膚が傷つく「褥瘡」や、弱くなった皮膚が摩擦やずれによって裂ける「スキン-テア」などの皮膚創傷にまつわる健康課題は、患者のQOL(生活の質)の面からも医療費等の社会経済的面からも吃緊の課題として注目されている。

本研究計画では、極限に柔らかいスマートマテリアル、身体にフィットするケア用品のための3Dモデリングおよびプリント技術、立体物の内部構造を表現できる高機能3Dプリントデータフォーマット技術を融合して、褥瘡やスキン-テアといった皮膚創傷を軽減・予防するためのゲルパッドの開発に取り組む。さらに、開発したゲルパッドをベッドや車椅子といった介護機器に組み込んで使うための仕組みの開発を目指す。

本研究は、健康情報学・看護学・ソフトマテリアル学・ロボット制御工学・デザイン工学の異なる専門分野間での横断的な研究として実施される。本研究を通じて、ケアを必要とする個人の体型や姿勢、健康上の留意点(片側麻痺等)などの特性を考慮し個人にフィットする「パーソナライズド・ソフト・ケアロボット」の実現に向けて貢献する。