B01-22:バイオロボットが自律運動を発現するきっかけの解明
概要
研究代表者 | 古澤 和也(福井工業大学) |
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私たちは、新学術領域研究「ソフトロボット学」において、生きた制御装置である脳オルガノイドと、生きた駆動装置である再生筋組織とを接続することで、自律運動を行う生きたバイオロボットを創ることに挑んできました。これまでの研究で、脳オルガノイドと再生筋組織とを接着させ共培養する方法を確立することができました。そして、このバイオロボットが局所的な自律運動を発現することを最近確認しました。しかし、再生筋組織全体が大きく収縮したり、ねじれたりするなどの巨視的な自律運動は発現させることができていません。肉眼で観察することができるような巨視的な自律運動を行うバイオロボットを創るためには、どのような「きっかけ」が必要なのでしょうか?この問いに対する解答を得ることが本研究の目的です。この目的を達成するために私たちは、脳オルガノイドと再生筋組織との間の神経経路を介したつながりに着目した研究を遂行し、どのようなつながりがバイオロボットの巨視的な自律運動が発現の「きっかけ」となるのかを明らかにします。
本研究の目的が達成されれば、バイオロボットあるいはソフトロボットに、部品の再構築や自己修復、学習や記憶などのような様々な自己改変機能を実装するための方法論を確立することができます。さらに、本研究の目的の達成は、脳と筋肉との接続に関する謎を解き明かすことにもつながり、このことは様々な運動機能障害の治療法の確立にも貢献できます。