B01-21:生きた組織の物質構成を変えながら弾性力を計測して『やわらかさ』の仕組みを理解する
概要
研究代表者 | 田中 正太郎(東京女子医科大学) |
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『生体のやわらかさ』とはそもそも何なのだろうか? 生体組織の弾性係数であれば、市販の硬度計を用いて容易に計測できる。しかしその値は、単なる構成物質の弾性係数の足し算ではなく、実際の組織内で形成されている物質間相互作用など、複雑系ならではの様々な要素が関与したものであるはずだ。そこで本研究では、これまでになかった『生きた組織の物質構成を変えながら弾性係数を計測する技術』を開発し、物質・細胞・細胞集団という階層を考慮しながら、『やわらかさ』の仕組みを分子レベルで理解する。具体的には、遺伝子ノックダウンを行った培養細胞で作られたモデル組織(細胞集団塊:スフェロイド)の弾性係数を独自に開発した技術で直接計測し(図)、物質構成(遺伝子発現)と構造変形、そして弾性係数という三者の相関性を数値化・数式化する。将来的には『生体のやわらかさ』を持つ素材を実現化するための方法を考案したい。