Science of Soft Robots – ソフトロボット学の創成:機電・物質・生体情報の有機的融合

イベント

ロボティクス・メカトロニクス講演会2024シンポジウム『 “いいかげん”を科学して未来を創るソフトロボット学5』

日時
2024年5月29日(水)13時~17時
場所
ライトキューブ宇都宮(中ホール東)&オンライン(Youtubeライブ配信予定)

***下記より、事前参加登録をお願いいたします!(参加費無料)***
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概要

やわらかい電子回路や機械、やわらかい材料、やわらかな情報処理など、“やわらかさ”に関連した色々な研究をうまく結び付けて、新しいロボットを目指していく「ソフトロボット学」(通称:ソフロボ)が,世界中でとても流行っています。この学問の最大のポイントは、異なる分野の専門家が集まり,協働する“異分野融合”によって、これまでのロボットにはなかった融通・適応・好い加減さ,といった新しい価値を作り出していくことです。5回目となる今回のシンポジウムでは,いよいよ、ソフトロボットの「制御」の本質を議論します。関連する研究者の講演をベースに議論を深めるとともに、ソフトロボット学のめざす“いいかがんさ”の科学を、やわらかく解説することを目指します。また、若手~中堅ソフロボ研究者にも,未来のやわらかいロボットを大いに語ってもらいます。ロボットの専門家でない方の参加も大歓迎です。

参加費:無料

参加方法: 現地参加 / Youtubeライブ配信(予定)

プログラム

(※変更の可能性があります)

13:00~13:15 趣旨説明

13:15~14:00 【トピカル講演1】
「エージェントと環境の相補性:身体と動きが与えるもの」
野中 哲士(神戸大学)

人間をはじめとする動物の行為は自らの支配の及ばない変化する環境の中で生起する。それゆえに行為の制御と発達は,それぞれの時間スケールにおいて,変化する環境と,動き,発達する身体がゴールに向かうかたちで不可分なシステムを形成していく動的なプロセスという側面をもつ.講演では,環境とエージェントの合目的的なカップリングにおいて身体とその動きが果たし得る多重の役割について,いくつかの事例とあわせて議論する.

神戸大学大学院人間発達環境学研究科教授.音楽家として活動したのち,東京大学大学院学際情報学府博士課程修了.生態心理学,発達科学,身体運動学の学際領域で,認知とその発達に身体と環境がどのような機会をもたらしているのかについて研究している.「身体―環境系における柔軟な行為制御の研究」で第14回日本学術振興会賞を受賞.著書に『具体の知能』(金子書房)ほか.International Society for Ecological PsychologyのBoard Member.

 

14:00~14:45 【トピカル講演2】
「ソフトロボットの手綱を求めて②:いいかげんな現象を操る数理」
石川 将人(大阪大学) ※2回目の出場

これまでのハードロボット制御論をソフトロボット制御論へと進化させるためには,理論体系を文字通り「骨抜き」にするくらいの変革が必要ではないでしょうか.本講演では,制御屋として育った著者の経験をもとに,複雑で不確実な現象に直面して困惑したこと,微分的積分的モデル観への転換,ガウス過程回帰に代表される確率的なデータ駆動型手法の活用,ブラックボックス型のモデリングと設計の可能性,などについてお話しします.

大阪大学大学院工学研究科機械工学専攻教授,コマツみらい建機協働研究所所長.1994年東京工業大学工学部制御工学科卒,2000年同大学情報理工学研究科博士後期課程修了,博士(工学).同大学助手,東京大学助手,京都大学講師,大阪大学准教授を経て,2014年より現職.計測自動制御学会論文賞・武田賞,制御部門パイオニア賞などを受賞.非線形制御,移動ロボット,生物に学ぶ/学ばないロコモーション,群システム,建設機械,言語学などに興味をもつ.著書に「制御系設計論」(南裕樹先生との共著,コロナ社,2022年).

 

(15分休憩)

 

15:00~15:35 【ソフロボ若手~中堅未来を語る講演1】
「Motion Hackingによるミズクラゲの浮遊運動の理解と制御」
大脇 大(東北大学)

ミズクラゲは優雅に水中を漂う.この生き物が浮遊する姿は,美しく,しなやか,かつ知的である.その神秘的な姿に反して,クラゲは餌を求めて一日中漂い泳ぎ続けることができ,水中動物の中でも屈指の超高エネルギ効率を誇る.この生物はきわめてシンプルな身体・神経構造でありながら,複雑かつ動的に変動する流体環境との相互作用を巧みに活用しながら浮遊する.本講演では,Motion Hacking,すなわち,生物自身の感覚運動機能を残存させた状態で,筋肉への電気刺激により,運動をハッキングする方法を用い,クラゲの浮遊運動を介入操作することでその制御メカニズムを探求するアプローチを紹介する.クラゲサイボーグの視点から,”やわらかい”ロボット制御の本質と”いいかげんさ”の科学について議論したい.

東北大学工学研究科ロボティクス専攻准教授.博士(工学).Embodied intelligence,Neuro-rehabilitation, Bio-hybrid systemに関する研究に従事.令和2年度科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞などを受賞.

 

15:35~16:10 【ソフロボ若手~中堅未来を語る講演2】
「古典理論に基づく曲面形状ロボットの制御方法」
岩本 憲泰(信州大学)

2次元状に広がりをもつ曲面状の構造体は,ソフトロボットにおいてしばしば登場する.我々はその一部を曲面形状ロボットと呼んで,その運動学理論の構築を幾何学の範囲で進めてきた.これらのロボットに対して運動学理論を考え,制御することに意味はあるのだろうか.将来的にオンオフ制御や機械学習を用いた制御が主流となり, 剛体ロボットや連続マニピュレータの運動学に結びづけて研究することは古典的な理論に拘泥しているだけかもしれない.本講演では,古典的な方針に基づいた曲面形状ロボットの運動学を概説し,その動機やそこから見えてくるものについて述べる.

2016年九州大学大学院工学府機械工学専攻博士後期課程修了.博士(工学).同年九州大学大学院工学研究院学術研究員を経て,2017年信州大学繊維学部機械・ロボット学科バイオエンジニアリングコース助教.2019年より作動可微分多様体研究室を運営.主に曲面形状ロボットに関する研究に従事.

 

(15分休憩)

 

16:25~17:00 講演者によるパネルディスカッション+Q&A

 

コーディネータ:望山 洋(筑波大学)・安藤 潤人(立命館大学)

 

参加申込:事前参加登録をお願いいたします!(参加費無料)
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主催:日本ロボット学会ソフトロボティクス研究専門委員会
科研費新学術領域研究「ソフトロボット学」
ROBOMECH2024主催:日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門