イベント
ロボティクス・メカトロニクス講演会2023シンポジウム『 “いいかげん”を科学して未来を創るソフトロボット学4』
- 日時
- 2023年6月28日(水)13時~17時
- 場所
- 名古屋国際会議場&オンライン(Youtubeライブ配信予定)
***下記より、事前参加登録が必要です!(参加費無料)***
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概要:
やわらかい電子回路や機械、やわらかい材料、やわらかな情報処理など、“やわらかさ”に関連した色々な研究をうまく結び付けて、新しいロボットを目指していく「ソフトロボット学」(通称:ソフロボ)が,世界中でとても流行っています。この学問の最大のポイントは、異なる分野の専門家が集まり,協働する“異分野融合”によって、これまでのロボットにはなかった融通・適応・好い加減さ,といった新しい価値を作り出していくことです。4回目となる今回のシンポジウムでは,ソフトロボットのデザインのカギと思われる「脱力」に焦点を当て、関連する研究者の講演をベースに議論を深めるとともに、ソフトロボット学のめざす“いいかがんさ”の科学を、やわらかく解説することを目指します。また、若手ソフロボ研究者にも,未来のやわらかいロボットを大いに語ってもらいます。ロボットの専門家でない方の参加も大歓迎です。
参加費:無料
参加方法: 現地参加 / Youtubeライブ配信(予定)
プログラム:
(※変更の可能性があります)
13:00~13:15 趣旨説明
13:15~14:00 【トピカル講演1】
「DATSURYOKUを実現する人間拡張技術」
村井 昭彦(産業技術総合研究所)
不安や緊張からくる筋の過緊張を緩和し,失敗やケガのリスクを低減するのがDATSURYOKUです.我々はヒトの計測,解析・モデル化,そしてリアルタイム介入から構成される人間拡張技術により,このDATSURYOKUを実現します.講演では,具体的なプロジェクトを紹介しながら人間拡張技術の各要素を説明し,人間拡張技術が実現する未来を議論します.
東京大学大学院情報理工学系研究科知能機械情報学専攻博士課程修了,博士(情報理工学).三菱重工,ディズニーリサーチ等を経て現職.専門はロボティクス,バイオメカニクス.JSTさきがけでの「DATSURYOKU:マルチレベルな介入による運動スキル獲得支援の実現」(2019~2022年度)等において,ヒトの神経・筋骨格システムにより運動生成・制御の機序を解明し,運動力学・認知的介入により運動・感覚能力を拡張する研究を行い,ヒトをより動けるようにすることを目指す.
14:00~14:45 【トピカル講演2】
「2足ロボットの強靭な身体と脱力の学習」
佐野 明人(名古屋工業大学)
本研究室の2足ロボットは,受動歩行や起こし回転といった力学現象を起源に進化し,ヒトの強靭な筋・腱を模した弾性体や揺動慣性といった受動的な要素を取り入れたユニークな身体を持つ.現在,世界モデルベースの深層強化学習を用いて実世界を対象に学習を行い,開かれた環境において適応する身体と知能の獲得を目指している.同時に,より学習しやすい身体に改良を重ねている.なお,「脱力」の学びが一つの重要なポイントと考える.
1987年岐阜大学大学院工学研究科修士課程修了.1992年博士(工学)(名古屋大学).現在,名古屋工業大学大学院工学研究科教授.受動歩行由来の身体性と世界モデルとの融合に興味を持つ.2009年「世界で最も長く歩いた受動歩行ロボット」でギネス世界記録認定.無動力歩行支援機ACSIVE,aLQを実用化・製品化.関連して,平成30年度全国発明表彰21世紀発明奨励賞,令和4年度科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(開発部門)などを受賞.NHK「チコちゃんに叱られる!」などに出演.日本機械学会,日本ロボット学会,計測自動制御学会のフェロー.
(15分休憩)
15:00~15:30 【ソフロボ若手未来を語る講演1】
「鳥類の首に学ぶ柔軟マニピュレータの設計とその活用法」
中野 風志(東京大学)
物体操作に特化した前肢を持たない鳥類が、柔軟な首一つで様々な動作を実現しているように、動物の身体に備わる柔軟性は、多様な機能の源となります。しかし、柔軟構造は予期しがたい変形を起こすため、その設計・制御は困難であり、多様な機能の実現方法も自明ではありません。そこで本講演では、鳥類の首の形態に基づいた柔軟マニピュレータの設計と、柔軟な身体のダイナミクスを活用した所望の機能の実現方法について紹介します。
2021年 横浜国立大学 機械・材料・海洋系学科卒業 2023年 東京大学 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 修士課程卒業 現在、同研究科博士課程在籍.日本機械学会畠山賞、三浦賞、若手優秀講演フェロー賞などを受賞.
15:30~16:00 【ソフロボ若手未来を語る講演2】
「脱力可能なヒューマノイドの身体と制御」
河原塚 健人(東京大学)
一般的なロボットに比べ, 人間の体は柔らかく, 未知環境に適応でき, 高い運動性能を有する. 本講演では, 如何に人間らしい適応的なヒューマノイドを構成するかについて, “脱力”という観点からその身体設計と動作生成をまとめる. 固い体をうまく脱力させる方法, そもそも体を柔らかく構成する方法, 自身の研究でもある人体模倣型の筋骨格ヒューマノイドについて事例を紹介しつつ, ソフトロボットの未来について議論する.
2022年東京大学大学院情報理工学系研究科知能機械情報学専攻博士課程修了. 博士(情報理工学).
2022年より東京大学大学院情報理工学系研究科特任助教.
筋骨格ヒューマノイドの身体設計と制御・深層学習に基づく知能ロボットシステムの研究開発に従事.
16:00~16:30 【ソフロボ若手未来を語る講演3】
「やわらかさによる計算:ソフトロボットと機械学習と数理の連関」
明石 望洋(京都大学)
生物はいかにしてやわらかい身体を自在に操っているのだろうか?やわらかさの生み出す複雑な振る舞いは、制御対象としてみれば厄介であるが、逆に制御を行う計算機だと思ってみると、高い表現・変換の能力につながると捉えることができる。この講演では、物理リザバー計算と呼ばれる手法を用いて人工筋肉の動作推定や制御を人工筋肉自身によって行えることを示す。更に、数理的知見を駆使してソフトロボットに多様なパターンを効率的に学習させる、最近の試みも紹介する。
京都大学情報学研究科助教。2022年3月、東京大学情報理工学系研究科を修了し博士(情報理工学)を取得。日本学術振興会特別研究員(PD)を経て2023年6月より現職。物理ダイナミクスを活用した情報処理に関する研究に従事。第54回応用物理学会講演奨励賞を受賞。
(10分休憩)
16:40~17:00 講演者によるパネルディスカッション+Q&A
コーディネータ:望山 洋(筑波大学)・安藤 潤人(立命館大学)
参加申込:事前参加登録が必要です(参加費無料)
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主催:科研費新学術領域研究「ソフトロボット学」
共催:日本ロボット学会ソフトロボティクス研究専門委員会
ROBOMECH2023主催:日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門