Science of Soft Robots – ソフトロボット学の創成:機電・物質・生体情報の有機的融合

イベント

Robomech 2020 「異分野融合で”いいかげん”を科学するソフトロボット学」

日時
2020年5月27日
場所
オンラインライブ

日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス 講演会(Robomech) 2020 において、シンポジウム「異分野融合で“いいかげん”を科学するソフトロボット学」をオンラインで開催します。

概要とプログラム

シンポジウム名:異分野融合で“いいかげん”を科学するソフトロボット学
開催形態:新型コロナウィルス対策のため、オンラインで開催します
主 催:科研費新学術領域研究「ソフトロボット学」
共 催:日本ロボット学会ソフトロボティクス研究専門委員会
コーディネータ:望山 洋(筑波大学)
概 要
やわらかい電子回路や機械、やわらかい材料、やわらかな情報処理など、“やわらかさ”に関連した色々な研究をうまく結び付けて、新しいロボットを目指していく「ソフトロボット学」(通称:ソフロボ)が、世界中でとても流行っています。この学問の最大のポイントは、異なる分野の専門家が集まり、協働する“異分野融合”によって、これまでのロボットにはなかった融通・適応・好い加減さ、といった新しい価値を作り出していくことです。このシンポジウムでは、ふだんはロボティクスと異なる分野で“やわらかさ”の研究に突き進んでいる研究者を交えながら、ソフトロボット学のめざす“いいかげんさ”の科学を、やわらかく解説します。また、若手ソフロボ研究者にも、未来のやわらかいロボットを大いに語ってもらいます。
プログラム(※変更の可能性があります)
13:00-13:15 そもそもソフトロボット学とは? / 鈴森 康一(東京工業大学)
13:15-14:00 生物の集団運動に成り立つ法則とそれを利用した自立分散システム / 永井 健(北陸先端科学技術大学院大学)
14:00-14:45 ロボットのようなニンゲン?それともニンゲンのようなロボット? / 古澤 和也(福井工業大学)
14:45-15:00 Coffee Break
15:00-15:30 若手ソフロボ研究者が考えるソフロボの未来1 / 川節 拓実(大阪大学)
15:30-16:00 若手ソフロボ研究者が考えるソフロボの未来2 / 渡辺 将広(東北大学)
16:00-16:30 若手ソフロボ研究者が考えるソフロボの未来3 / 重宗 宏毅(芝浦工業大学)
16:30-17:00 パネルディスカッション

参加方法

参加方法などの詳細は、Robomech 2020 内の詳細ページをご参照ください。

アブストラクト

[異分野融合]

生物の集団運動に成り立つ法則とそれを利用した自立分散システム
/ 永井 健(北陸先端科学技術大学院大学)

魚の群運動やイナゴの大群に見られるように、生物が大量に集まることで秩序構造を
作って機能を実現することが知られている。近年、このような集団運動ついて物理学
的な視点からの研究が進み、単純な原理に支配されたダイナミクスであることがわ
かってきた。今回、我々の結果を含む最近の生物集団に関する研究動向について講演
する。その中で、明らかになった知見を利用した群ロボットなどの関連する自立分散
システムも紹介する。

ロボットのようなニンゲン?それともニンゲンのようなロボット?
/ 古澤 和也(福井工業大学)

最近、ヒトの細胞を培養することで大脳のミニチュアをつくることができるように
なってきました。もしこの大脳のミニチュアとやわらかい物質でできたロボットを組
み合わせて生きたバイオロボットをつくったら、それはロボットのようなニンゲンに
なるのでしょうか?それともニンゲンのようなロボットになるのでしょうか?この講
演では、このようなニンゲンとロボットの間の境界について議論します。

[若手ソフロボ研究者が考えるソフロボの未来]

1. 触覚センサから考えるソフロボの未来―やわらかさと硬さを好いかげんに繋ぐ
/ 川節 拓実(大阪大学)

ソフトロボティクスが目指しているのはただただやわらかいロボットなのだろうか?
やわらかいだけでは自重も支えられず、大きな力も発揮できない。従ってやわらかさ
を硬さと上手く組み合わせることが重要となるが、これらを好いかげんに繋ぐことは
容易ではない。本発表では、発表者がこれまで取り組んできたやわらかい触覚センサ
の事例を中心にやわらかさと硬さを好いかげんに繋ぐアプローチについて議論し、今
後の展望を述べる。

2. メカ屋が考える“いいかげん”ロボットの価値
/ 渡辺 将広(東北大学)

概要:ロボットを設計する際,単純な構造でやわらかい動きを再現することにより,
これまでの複雑でかたい機械では困難だった課題の解決が図れると思う場面が多々あ
る.本講演では,このような“いいかげんな”ソフトロボティクスの世界の面白さと
その価値について,これまでの研究を紹介しながらメカ屋の視点から考える.

3. 紙を基盤とした折り紙メカトロニクス
/ 重宗 宏毅(芝浦工業大学)

紙に印刷して構成するメカトロニクスを研究しています。導電性インクが印刷された
紙に物理化学反応を起こすインクを印刷することで自律的に折り曲がり、電子機能が
内包された3次元構造を形成できます。紙は他のソフトなマテリアルと同様に、湿度
によって材料特性の変化する、見方によっては”いいかげん”な材料かもしれません
が、逆にその性質を利用することによって拓けるサイエンス・エンジニアリングにつ
いて考察できる場になればと思います。